40日目 探索①


ボクは夕焼けの中、出発します。
リュックには、ナメクジ捕獲道具がつまっています。
山のふもとに着くころには、
夕日の頭が消えかかっていました。
もうすぐ、暗闇です。
暗闇の山ほど恐ろしいものはありません。
なんといってもさびしいのです。
風のゆらす木々の音や
何なのかさっぱり分からない動物の絶叫などが、
響いているのです。
でも、ボクはその恐怖に立ち向かうのです。
ナメクジのために・・・
「バカやね。」
とか言いなさんな!
一人で森の中いるんだから。
で、なぜ夜なのかというと、
これまでの情報によると、
なめくじは夜行性なのだそうです。
本来、昼はじっとしていて、
夜に動き出すのだそうです。
そして、なによりジメジメしたところです。
早速ボクは、リュックからヘッドライトを取り出し、
装着します。
ちょっと、ゴムがきついですが、
「フィットしてないと、落ちるだろ!」
と、オーナーが言っていたのを思い出しました。
その後、オーナーはイスの座るところが外れて、
陳列にぶつかっていました。
カチッ!
ボクは、ライトを付けます。
そして斜面にへばり付いた岩をはがします。
うぉ!
なんということでしょう。
一発目です。
一発目の岩の下には、
ナメクジがうようよいたのです。
ボクは、あまりの気持ち悪さに、
逃げ出してしまおうかと思いました。
でもボクはリュックからピンセットと
ネスカフェ・ゴールドブレンドの空き瓶を取り出します。
1匹、また1匹とナメクジを捕獲していきます。
あまりのあっけなさに驚きながらも、
ゴールドブレンドの中には、
どんどんナメクジがたまります。
ボクは、瓶の半分くらいになったところで、
捕獲をやめました。
きりが無いからです。
ふたをして帰ります。
こんな薄気味悪い所は苦手だからです。
!?
見つけました。
洞穴です。
木と岩の斜面の間に、
ぽっかりと口を開けているのです。
ボクはヘッドライトを穴に向けてみます。
穴の直径は1メートル50センチぐらいです。
防空壕の跡でしょうか。
「入れよ」
とか言いなさんな!
恐怖よ!
なんでこんな中に入らなくてはいけないのですか!
ナメクジはもう採ったので、用は無いのです。
ボクは帰ります。
帰るのです。
そうです。
絶対に防空壕の跡などには入らないのです。
・・・・。
入るよ。
入りますよ。
入ればいいんでしょ?
入りますよ。
防空壕に。
(長くなりそうです。明日に続きます。)