70日目 地球の未来 3


パラシュート花火とはもともと昼にするものです。
なぜなら夜してもパラシュートが見えないし、
「ポン!」
といってパラシュートが打ち上がるだけだから、
綺麗でもありません。
でも人気があるのはきっと空を浮遊するパラシュートを
見たいからなのでしょう。
人間は地上動物です。
やはり無いものねだりで、
空を飛んでみたいという願望はあります。
それを子供たちは素直に追いかけ夢をみるんですね。
空に。
その空に一匹のナメクジが挑みます。
今、ここに・・・
そのナメクジの名は、
ヘルメット。
今、ヘルメットは透明カプセルの中です。
そのカプセルの下には大量の火薬が装備されております。
そして周りを固めるのが、セロテープではなく、
布テープ。
ガムテープの親玉。
布テープです。
ガッチリ、頑丈です。
「これで行けるはずだ、ヘルメット!思う存分、楽しんでこい!」
ボクは、点火します。
導火線が短くなり、本体の中に吸い込まれました。
2秒後。
シュポッ!
という勢いのいい音とともに、
ヘルメットは空に駆け上りました。
歴史的瞬間です。
ボクは見上げます。
ソラ。
ボクは満足の笑みで見上げます。
ソラ。
空。
そして小さな、白。
パラシュートが開いた!
ふわふわと小さな白が、ただよいます。
ボクは笑顔で、小さな白に向かって走ります。
風とたわむれ、優雅に舞うヘルメットがそこにいました。
ゆっくりとパラシュートは着地しました。
着地しましたが、様子がヘンです。
透明カプセルがありません。
付いていないのです。
ヘルメットの乗った透明カプセルが・・・。
どおりで、風に流されるわけですね。
オモリの無いただの紙切れが風に舞っていただけなのです。
ボクは急いで、花火のところに駆け戻ります。
花火は空洞です。
ヘルメットはいません。
どこに行ったのでしょうか?
「お前が吹っ飛ばしたんだろ」
そうよ!
その通りよ!
吹っ飛ばしたのよ!
などと言ってもはじまりません。
とにかく透明カプセルを探します。
5メートルといったところでしょうか。
そこに透明カプセルはありました。
そして中には無事ヘルメットの姿も確認できました。
「よかったね、ヘルメット」
ボクは無事生還したヘルメットにそういうと、
次は必ず成功させるゾ。
と誓うのでした。