91日目 エレクトリックと風


人間は電気で動いているというのを聞きました。
脳が電気信号を送って・・・
とかなんとか、難しいことを言っていました。
確かに乾燥するこの季節、やたらと静電気が指から放出されます。
扉のノブやクルマのドアなど金属の部分に触れようとすると、
「ビ!」
ってきます。
じゃあ、ナメクジはどうなのでしょう。
ナメクジも電気を帯びているのでしょうか?
早速やってみますよ。
エレクトリック実験です。
まず、針金を用意します。
そしてホウキを持ってきます。
ボクは、ホウキの棒の先端をノコギリで、
1センチぐらい縦に切り目を入れます。
その切り目にUの字に曲げた針金を差し込みます。
針金が抜けないように、しっかりと固定させるのがコツです。
これで「エレクトリック棒」の完成です。
この完成したエレクトリック棒の先端にある、
Uの字に曲がった針金に、ヘルメットを乗せて、
コンセントに差し込もうよ作戦です。
これでプラスとマイナスの電流が、
ヘルメットの体内で交差するのです。
すごいね。
というわけで、まずはヘルメットを乗せずに、
エレクトリック棒のみでの実験をしてみます。
さぁ、差し込みますよ。
コンセントに少しずつ、
ゆっくりとUの字に曲がった針金が進みます。
ボクはドキドキしております。
なぜか、ちょっと右の口元がゆるんでニヒルな顔です。
ググ・・
わずかな感触とともに3センチほどコンセントに入りました。
ボクはホウキをしっかり握っています。
針金の色が電気により、みるみる変化していきます。
本来、針金というのは銀色をしています。
それがどうでしょう。
この世のものとは思えない程の、
なんとも「鮮やかなオレンジ」に輝いているのです。
ボクは、
「なんて、美しいんだ・・・」
と思いつつも、ホウキをコンセントに、グイグイ差し込みます。
もっと差し込めば、まだまだ輝くはずさ!
ボクはそう思い込んでいるので、グイグイ差し込みますよ。
あ!
「グニャ」
っと針金が曲がった!
あ!
「ビジビジ」
といって針金が当たっているコンセントの横の方が、
溶け出した!
ボクは急いでエレクトリック棒を引き抜きます。
ところが、抜けません。
あ!
煙が出だした!
ボクは力まかせに引き抜きます。
針金は、美しいオレンジから真っ黒になりました。
酸化してサビました。
コンセントは溶けました。
でも、ボクは頑張ります。
もう一度、ホウキの棒の先端に新しい針金を装着します。
そして、Uの字に曲げた針金の上にヘルメットを置きます。
いくぜ!
ボクは勢いよく、横の方が溶けたコンセントに差し込みます。
まるで漁師が魚を突くように、
コンセント目掛けてエレクトリック棒を突っ込みます。
ぅおりゃぁぁぁあ!
挿入。
バチィィィ!!
火花。
ぬぅおぉぉ!
暗闇。
・・・・・。
落ちたね。
ブレーカーが。
真っ暗よ。
ボクは懐中電灯を手繰り寄せ、配電盤に向かいます。
ブレーカーを上げると、部屋がフワッと明るくなりました。
ボクはコンセントの所に駆け寄ります。
そこには、エレクトリック棒が静かに横たわっていました。
そのそばにヘルメットがいます。
もぞもぞ動いております。
ボクは、ゆっくり2度、うなずきます。
その結果に満足したかのように・・・
そして、ふと思ったので、ボクは、
溶けたコンセントに掃除機のコードを差し込んでみました。
「カチ」
っとスイッチを入れます。
・・・・・。
ダメやね。
ウンともスンともいいません。
他の場所のコンセントを試してみると無事に動きました。
針金を突っ込んだ所だけが、壊れました。
ボクは静かに部屋の窓を開けます。
プラスチックの溶けた臭いが風に流れます。
ボクは少し身震いしました。
今夜はなんだか、一段と冷えそうです。