114日目 撃沈


あたたかくなってきました。
春です。
だからボクはシルクのパンツを取り出しましたよ。
これは、はるか昔におしゃれな店に、
フラ~っと入って、
出るに出られなくなって買ったものです。
そしてその時、ボクはかなりの錯乱状態でしたので、
白を手にしていました。
しかも、持って帰って開けてみると、
ブリーフタイプ。
シルク・ホワイト・ブリーフです。
これを装着するのです。
なぜなら、春だからです。
春になるとそんな気分になるからです。
ぴたーぁ
とくるよ。
シルク・ホワイト・ブリーフが、
ぴたーぁ
とくるよ。
そして、ちょっとヒンヤリしますよ。
だからヒンヤリついでに、ビニパンをはきます。
ビニパンとは、革パン風に見える、
ビニールパンツです。
テカテカのブラックです。
これで原付バイクに乗るのです。
さぁ、準備OKです。
これでボクは出発します。
ホームセンターです。
「またかよ」
とか呆れるんじゃないよ。
用事があるんだから。
ボクはヘルメットを外に連れ出すための、
アクリルケースを買いにゆくのです。
「おまえ、持っとるやん」
とか言うな。
そうよ、無くしたのよ。
なんでもかんでも無くしますよ、ボクはね。
とかいっているうちにホームセンターに着きましたよ。
アクリルケースのある場所はもう分かっているので大丈夫です。
ボクはレジに並びます。
おっさんが「ドライバー」と「ほっカイロ」を買っています。
その後ろに並びます。
「386円です」
と店員のおばさんが、おっさんに言います。
すると、おっさんは、
「386えん?」
と聞き返し、
「わしゃ、300円しか持っとらんわい!」
と怒鳴りはじめました。
ボクは、
春になると変な人が出てくるなぁ~
と思いましたが、
「300円でええやろ、300円にしてもらえんか?」
と引き下がらない、おっさんに、
「あんた、いい加減にしろよ」
と言いました。
なぜなら、おっさんが、いろいろ言っていると、
時間がかかるからです。
異変に気付いた、まわりのお客さんが足を止めます。
「なにぃ!」
おっさんはボクをにらみつけます。
ボクは、おっさんの気を荒立てないように、言葉を選んで、
「なるわけねぇだろ、早くカネ払えよ」
と言います。
すると、おっさんの顔がみるみる赤くなって叫び出したので、
他の店員さんが集まってきました。
そして、おっさんは店員さんたちに連れられていきました。
ボクは、
「バカだな、ありゃ」
とアウトローの捨てゼリフを吐き捨てニヒルに微笑みます。
店員のおばちゃんは下を向いたまま固まっていました。
そして、ハッとして、申し訳なさそうな顔でレジを打ちます。
まわりの客さんたちもボクと視線を合わせないように
下を見ています。
悪いのはボクではないのに、
まるで犯罪者のような気分になったので、
ボクはなんだかムカっとしました。
だからボクは、ふてぶてしい歩き方で店を後にします。
原付バイクにまたがろうとして、
ボクは愕然とします。
8割といったところでしょうか。
ほぼ全開です。
ビニパンのファスナーが、
ほぼ全開です。
逆三角形に開いた黒のビニパンから、
純白シルクブリーフの前面部分が丸出しです。
店員のおばちゃんや、お客さんたちは、
犯罪者を見るのではなく、
ブリーフを見ていたのです。
「こいつ、かっこつけてるけど、
 ブリーフ丸出しやん」
です。
ボクは、顔から火が出るほど、はずかしくなりました。
でも、
春なので、ま、いいか。
と思うようにしています。