115日目 わた


ボクは、わた菓子を片手に家にかけ込みます。
もらったのです。
まったく用もないのに、
モデルハウスに入ったからです。
先客のこどもが、泣き叫んでもらっていたので、
ボクもどさくさにまぎれて、手を出しました。
そしたら、お姉さんが勢いでくれました。
ウルトラマンなんとかが、大きく描かれています。
ボクは最近、わた菓子など食べていないので、
急いで帰ってきたわけです。
ボクは、わた菓子を開けます。
ウルトラマンなんとかが、ビリビリに引き裂かれます。
けっこう大きいです。
アフロヘアーを長く伸ばした感じですね。
ちょっとピンクがかっております。
食べます。
「あッめぇ(甘ぇ)」
とボクは言います。
わた菓子が、こんなに甘いものだったんだと思い知らされました。
だからボクはヘルメットに差し上げます。
さぁ、お食べ。
そう言ってボクは、ヘルメットをわた菓子の頂上に乗せます。
長いアフロヘアーの上にヘルメットが乗っています。
いや、ヘルメットをかぶっているのです。
「ちっ、くだらねぇ」
とか言うな。
お!
沈んでいる!
ヘルメットが、わた菓子の中に、
沈んでいきよる!
ナメクジの体の水分をわた菓子が吸収しているのです。
ヘルメットは、みずからの体液と引き換えに、
沈んでゆくのです。
そして、今、
ヘルメットは巨大な繭の中です。
孵化です。
孵化の最中なのです。
ボクは孵化を邪魔してはいけないので、
ほったらかします。