116日目 におい


最近の日差しは強いです。
春を越えた強さです。
ボクはイヤな予感とともに、
子供たちの入っているゴールドブレンドを手にします。
失敗して大きな穴の開いたものです。
ほのかに、あたたかいです。
ボクはフタにかぶせたサランラップをはがします。
くるか!?
突き刺すにおいが、
くるのか!
と思いましたが、においません。
ボクは不思議に思ったので、
フタの穴に鼻を近づけます。
シュ
と鼻を鳴らしてナメクジエアーを吸い込みます。
ズキューん
ときた。
ナメクジエアーが、
ズキューん
ときました。
後頭部から突き抜ける勢いね。
強烈ぅ~
と振り子のように頭を後ろにはじきます。
ガッ!
とか音が聞こえました。
開いたタンスの扉が後頭部に炸裂。
ボクは右手のゴールドブレンドを放り投げます。
ゴガッ
とゴールドブレンドがたたきつけられる音がしましたが、
ボクは両手で後頭部を押さえている真っ最中です。
だから、ゴールドブレンドなど、
どうでもいいのです。
今はそれどころではないのです。
ボクは指先を上手に使い、当たった所をさぐります。
指先を見ます。
血が出ていると大変だからです。
普通どおりの指です。
血は付いておりません。
そして、指先をにおいます。
何もにおいません。
ボクはなぜ、におってみたのかは分かりません。
人は、錯乱していると意味不明なことをするもんです。
でもボクは、血が出ていないので安心しました。
なぜなら病院で、
「あの人、ナメクジにおって、
 頭5針縫ったんだって、やーねー」
とか看護婦さんに言われたくないからです。
ボクは吹き飛んだゴールドブレンドを元に戻しました。