119日目 サンダル


ボクはバケツを持って庭に飛び出します。
別に飛び出さなくてもよいのですが、
ボクは飛び出しますよ。
なぜなら、そんな気分だからです。
バケツの中には、土が入っております。
この土は、水槽の土です。
最近、あたたかくなったてきたので、
くさいのです。
ようするに腐った土です。
ヘドロ寸前の土です。
もうちょっと水分があるとヘドロ完成です。
そんな土をヘルメットとベルに与えては、かわいそうです。
「お、たまには、いいことするじゃない」
とか思うやろ?
そうよ、
たまには、いいことをするのよ。
ボクはね。
だから、その土をバケツに入れて、
外に飛び出したわけです。
庭のすみに、土をまきます。
少し、においますが、ボクは全然きにしません。
園芸用のスコップをつかみます。
そして新しい土をバケツに入れる作業に取りかかります。
ボクは腐った土の向こう側にある奴を狙っております。
そのためには、腐った土を股越さなくてはなりません。
ボクは、
「クソ、腐った土を手前にまけばよかった」
と思いますが後の祭りですので、あきらめます。
ボクは、あきらめは、わりと早いほうです。
だらか、すばらしい角度で股越します。
かなり後ろ足を伸ばしております。
横から足を見ると、美しい直角三角形です。
そのスタイルをキープですね。
なぜなら、そうしておかなければ、
ボクの股間に、腐った土が付着するからです。
そんなことは、もっぱらごめんです。
ボクは園芸用のスコップを土に突っ込みます。
ザクッ
とスコップを土に突っ込んだ時、
ビリッ
っといってサンダルが破れました。
左の方です。
完全に引き裂けております。
とか思った瞬間、
ズルッ
と、すべって、
ベチョ
と、着地。
ボクはスコップを持ったまま、
やる気を失くしてしまいました。
そしてボクは、思いました。
いいことはするもんじゃないね。