121日目 同心


ザクッ!
ザクッ!
ボクは掘ります。
庭の土をほじくり返します。
水槽に土を入れるためです。
サンダルの具合もいいです。
でも新品なので、足の甲のところが、
ちょっと痛いのが気になります。
でも、それ以上に気になるのが、
緑色に変色した土です。
先日、ここに土をまいたものです。
その土が緑色に変色しているわけです。
これ、スライム。
スライムです。
少し、ヌメリも残っているようですが、
そんなことよりも今は、土です。
ザクッ!
ザクッ!
ボクは掘ります。
お!
なんか、幼虫が出てきた!
カブトムシの幼虫の小さいのが、出てきた!
でもこれは、きっとカブトムシではありません。
そんなの見たことないからです。
どうせ、コガネムシかなんかの幼虫です。
ボクは、コガネムシの幼虫を見たことはありません。
でも、きっとこれは、コガネムシの幼虫です。
そう信じます。
いや、そう信じたいのです。
ボクにとって、カブトムシ以外の幼虫は
ぜんぜん魅力がないのです。
だからボクは、園芸用のスコップの先で、
コガネムシの幼虫を
ズソッ!
と、ふっ飛ばします。
かなり手首のスナップをきかせて、
ズソッ!
と、ふっ飛ばします。
!!!
な!
喰った!
ハー、ハー、フガ、フガ!
と言って、コガネムシの幼虫を
散歩中の犬が喰った!
・・・・。
犬のクサリを持ったまま固まるオッサン。
園芸用スコップを持ったまま固まる男。
舌とシッポを激しく振り回す犬。
・・・・。
ボクとオッサンはロウ人形の顔で見つめ合います。
でも、ふたりの頭の中は、今、
「このバカ犬が、なんかの幼虫を喰った」
ということで、ピタリと一致しているはずです。
アカの他人が、これほどまでに、
心をひとつに出来るでしょうか?
ボクは、とっても、すがすがしい気持ちになりました。