126日目 一歩手前


人とナメクジの決定的な違いは?
というと10人中10人が、
声をそろえて、必ずこう言います。
「それは、気圧です」
と。
「言わねぇよ」
とか、あきれなさんな!
いいですか?だいたい気圧というのはですね、
「いいよもう、どうせくだらねぇ能書き垂れるんだろ?」
とか言うな!
こうしてイライラするのも気圧のせいなのです。
雨が降ると気圧が低くなります。
気圧が低くなると、空気がうすくなります。
すると人はイライラします。
だから事故とか起こします。
ところがです。
ナメクジは、イライラどころか、
雨が大好きです。
梅雨とかパラダイスなのです。
お花畑をかけめぐるパラダイスです。
これは一体どういうことなのでしょうか?
さっそく、やってみます。
ボクは、大きめのビニール袋を用意しましたよ。
これに、ヘルメットを入れます。
奥の角の方に入れます。
そしてビニールの口をしぼります。
しぼった所に掃除機の先を突っ込みます。
そして、
スイッチ、オーン!
ブゥォォォ!
どんどん空気を吸い込みます。
だから、どんどん空気がうすくなっているのです。
フトン圧縮袋の法則です。
今、ヘルメットは、不安でいっぱいのはずです。
なぜなら、空気がいつもより、うすくなっているからです。
完全な低気圧です。
ブゥォォ、ぼっビバババ!
掃除機が悲鳴を上げはじめました。
みるみるヘルメットにビニールが張り付いていきます。
かなり低空飛行です。
地面すれすれの低気圧です。
ほぼ真空に近いです。
ボクは、ビニールの口を押さえた手を離しません。
絶対に離しません。
なぜなら、もっともっと、だからです。
とことんやらなければ、結果など出ないのです。
それが世の中の道理なのです。
ガビバババ!
この世のものとは思えない掃除機の音がします。
ボクは、ビニールが固くなった所で、
ズバッ!
と掃除機を抜きます。
そしてボクは、掃除機を止めます。
左手は固くなったビニールを押さえてますよ。
立つね。
ビニール袋が固くなって、
棒のように、立ちます。
その先端に、ヘルメットがおります。
これが人なら、イライラします。
なぜなら息ができないからです。
でもナメクジは、人と決定的に違うのです。
低気圧が大好きなのです。
だから今、ヘルメットは、
どこまでも続く、お花畑をかけ回っている気分です。
三途の川の一歩手前なのです。