139日目 シュワァァー


ボクはホームセンターで買ってきた針金を持っています。
これを巻きつけます。
グリグリに巻きつけるのです。
そう、竹ハンドルに。
まずボクは、ヘドロ号の車体と竹ハンドルをくっつけます。
レンチでネジを外します。
ハンドルを固定する金具が、アゴが外れたようになります。
そこに竹ハンドルを入れ込みます。
そしてまた、レンチでネジをしめます。
パキパキ
とかいいますが、ボクはネジをしめます。
ぐんぐん締め付けます。
すると、
メキッ
と、鳴ったのでやめました。
でもこれではまだ弱いのです。
だから針金でグリグリに巻きつけます。
そしてボクは延長コードを持ってきました。
ハンダゴテを差し込みます。
本当は溶接をしたいのですが、
竹は熱に弱いのです。
それに道具がありません。
でもあの溶接用の黒い丸メガネは、ちょっと興味があります。
そうしているうちにハンダゴテが熱くなってきました。
ボクはハンダゴテの先に、細い針金のようなハンダを押しつけます。
3秒ぐらい押し付けると、突然ハンダは溶けます。
溶けたハンダは、ターミネーター2の悪い奴みたいな質感になります。
銀色のアメーバーです。
これを針金にからませます。
そうすると、針金とハンダが連結され、
今ここに、頑丈なハンドルが生まれるのです。
・・・・。
つかん。
だめ。くっつかんね。
ポロポロ落ちます。
ボクは下に落ちたハンダを左手で拾います。
すると右手に持っていたハンダゴテの先が、
壁に立てかけてあった発泡スチロールに当たりました。
シュワァァー
という感じ。
シュワァァー
という感じで、発砲スチロールが溶けて穴が開きました。
ボクは、
「すげぇ」
とかつぶやいて、
縦横60センチぐらいの発砲スチロールを寝かせます。
そして、シュワァァーといきます。
ハンダゴテの先が発砲スチロールに触れるか触れないかぐらいで、
シュワァァーと溶けていくのです。
ゆっくりとハンダゴテを動かします。
どんどん溶けていきます。
ボクは夢中になって溶かします。
なるべくハンダゴテの先が発砲スチロールに当たらないようにします。
なぜなら、コテ先が発砲スチロールに当たると、
ジュッ!
といって煙が出ます。
その煙はダイオキシンを含んでおるからです。
鼻の奥に突き刺さります。
でもボクは、懸命にハンダゴテを動かします。
ただひたすら、発砲スチロールを溶かすために。
それはまるで、ナメクジが通った跡。
縦横無尽に駆け巡る幾何学模様。
人は、無意味で単純なことをしている時が、
いちばん輝いて見えます。
ボクはそう信じます。
だからもう、ハンドルは完成です。