146日目 緊迫感


もうね、脳ミソも痛いんです。
夜なんか、歯と脳ミソが痛いので寝むれないのです。
かなりムシャクシャします。
ボクは歯医者には行きません。
絶対行きません。
なぜなら自力で直すのです。
ボクは、自然治癒力を信じているからです。
人間のすばらしい力、自然治癒力を。
・・・・。
「歯医者がキライなだけだろ」
とか言うな!
そうよ、その通りよ。
キュィィィーンとかいうドリルが怖いのよ。
だからボクは薬局に行きます。
見つけました。
「大正トンプク」です。
「歯痛・頭痛」と書いてあります。
薬は最初に書いてある「効能」が一番効くのだ!と、
テレビで言っていました。
だから「大正トンプク」は歯痛に一番効くのです。
今のボクにバッチリなのです。
レジに並びます。
ボクの前に2人並んでおります。
先頭の人が、かなり質問とかしてます。
ボクは歯と脳ミソが痛いのでイライラしてきました。
すると、手押しカートがボクの前に現れました。
手押しカートは申し訳なさそうに、ボクの前に入っていきます。
やさしく割り込みです。
手押しカートを押しているオバチャンは素知らぬ顔で、
ゆっくりと押しております。
完全にボクの前に手押しカートがめり込んだ時点で、
オバチャンの動きは、ストップしました。
そしてオバチャンは、
「初めからここに居ました」
の顔で前の人のサイフとか覗いております。
すでにボクの後ろに人が並んでいたので、後ろで、
「あの人、割り込みよ・・・」
などというヒソヒソ話が始まりました。
レジの店員も気付いております。
そしてオバチャンの番になった時にレジの店員が、
「申し訳ありません、お客様。
 こちらのお客様の方がお先ですので・・・」
と言い、ボクを見ます。
するとオバチャンは、
「何言ってんのよ、あたしのが先に並んでたのよ!」
と叫び出しました。
レジ周辺に緊迫した空気が流れます。
ボクは、
「いいですよ、お先にどうぞ」
と言いました。
レジ周辺に安堵の空気が戻りました。
こんなことではボクはビクともしません。
人間のうつわが違うのです。
だからボクは、オバチャンの後頭部に向かって、
「頭の狂った人に、常識は通用しませんから」
と言います。
再び、レジ周辺に緊迫した空気が流れます。
レジ店員、唖然。
振り向いたオバチャンの口、プルプル痙攣。
その口をだらしない三白眼で見つめる歯と脳ミソが痛い男。
「プッ」って笑う、後ろのやじうまたち。
・・・・。
こうしてボクは無事「大正トンプク」を
手に入れることができたのでした。