147日目 ドリルダンス


「はじめてですか?」
「・・・はい」
ついにボクは歯医者に来ました。
耐えられないのです。
激痛に、
耐えられないのです。
「新デントヘルス」も「大正トンプク」も
ぜんぜん効かないのです。
ムダなお金の使い方なのです。
「こちらへ、どうぞ」
ボクは言われるがまま、
診察イスに座ります。
「はい、口開けてぇ~」
マスクの下から、ぐぐもった声で歯医者さんは言います。
棒でいじくります。
コンコン叩いたりします。
ボクは、片目をケイレンさせ、
痛みに耐えます。
こうなったのも、全てスニッカーズなのです。
あいつがいけないのです。
あいつが、甘く、おいしく、粘着力があるのが、
いけないのです。
キュィィィーーン!
始まった!
ドリルです。
これで、歯に穴を開けるわけです。
キュィィィーーン!
ギガガガガガ!!!
おおー削れとる!
なんか変な臭いがする。
歯が削れて、
変な臭いがする。
カルシウムの臭いか!?
そうなのか!?
「あっ」
・・・・。
歯医者さんは、
「あっ」
って言いました。
ガラガラガラガ!
ドリルが、ボクの口の中で踊ります。
そう、
歯医者さんは、
「あっ」
っと言って、ドリルを手からすべらせてしまったのです。
ドリルは自らの意思で、
ボクの口の中を駆け回ります。
回転しているドリルの先端は、
あきらかに、ベロの下の所で回っております。
ベロの下の、とっても柔らかい粘膜を
引き裂いておるのです。
「ぅがぁぁ、あ~~」
とボクは言いながら、むき出した両目で、
歯医者さんに、こう訴えかけます。
「あ、あんた回っとるよっ!
 オレの口の中で、ドリルが回っとる!」
と。
シュイーん!
歯医者さんは、ドリルを持ち直して止めます。
「ぅがぁぁ、あ~~」
ボクは、絶望の声を出します。
ちょっと涙とか出ています。
だけど歯医者さんは、
「はい、じゃぁ、うがいしてぇ~」
と冷静をよそおって、
「ちょっと血が出るけど、ビックリしないでね」
と付け加えました。
・・・・。
そしてボクは、思いました。
もうスニッカーズ、買わん。