160日目 虎の王様


戦車といえば、
ドイツです。
なぜなら、戦車のプラモデルでは一番多いからです。
別に調べてませんが、そう思えるし、
そう思いたいのです。
だからボクは、ドイツの重戦車、
キングタイガー
を選んだわけです。
名前がよいからです。
キングタイガー
小学生が「かっきぃー」
とか言って付けそうな名前です。
これを組み立てました。
外側だけ。
見えないところもしっかり再現する。
それが田宮模型です。
でも見えないので、ボクは作りません。
だから外側だけ。
ひさしぶりのプラモデルです。
いいなぁ~
とか思います。
だからボクは、このキングタイガーを
『砲弾を食らった老戦車』
に、しようと思います。
キングタイガーの外側をドロドロに溶かすのです。
それがジオラマです。
だからホームセンターに到着いたしました。
ボクは、
100円ライター、カチッと装着バーナー198円を手に、
レジに並びます。
これは、100円ライターを装着すると、
バーナーになるというアダプターのようなものです。
これで、溶かすのです。
キングタイガーの外側をドロドロに溶かすの、
ボガッ!
レジに並んでいるボクは、背中を突き飛ばされました。
振り返ると、リーゼントの青年がガムを食べながら、
「あ、悪ぃ」
と言って右手を上げます。
完全にリラックス状態で力を抜いていたボクは、
押されて腰がほぼ直角になったので、
文句のひとつでも言ってやろうかと思いましたが、
ガラの悪い人には、かかわりたくないので言いません。
それにボクは、争いはキライです。
でも、戦車は買います。
なぜなら、このバーナーで溶かすからです。
キングタイガーの外側をドロドロに溶かすの、
ビたぁ~~
です。
リーゼント青年が、
ビたぁ~~
と背中にくっついて、グイグイ押してきました。
たしかにレジは混んでいます。
前に進みたい気持ちは十分わかります。
だけど人の背中にくっつくのはよくないです。
「やめなさいよ」
リーゼント青年の後ろのかわいい女の子が言います。
リーゼント青年の彼女です。
「早くしろや」
リーゼント青年は、ボクの後頭部に向かってそう言います。
だからボクは振り向いて、やさしく言います。
「ちょっと待てや、お前が俺を押したら、早く進むんか?
 レジ打つスピードが変わるんか?バカが」
すると、
「なんや、てめぇ!」
とリーゼント青年が目をむいて言います。
だけどボクは、とても温和な性格なので、
目の前のリーゼントを右手でつかみます。
すると、
「お、お客さん!」とか
「や、やめて!」とかいう声が聞こえます。
店員さんと、リーゼント青年の彼女の声です。
だけどボクは、とても温和な性格なので、
右手でつかんだリーゼントを、ねじります。
そしたらリーゼント青年は、
痛そうな顔で、ゆっくりとしゃがみ始めました。
するとなぜか、
ボクは後ろから店員さんに、羽交い絞めにされます。
その隙に、リーゼント青年とかわいい彼女は逃げます。
そうなると1人残されたボクは、極悪人の目で見られます。
それが世間というものです。
だからその場に居られない空気が流れます。
「ここはお前みたいなナメクジを飼ってる奴の
 来るところじゃねぇんだよ」
の視線が、あらゆる角度からボクに突き刺さります。
ボクは、右手にヘアーオイルを感じながら、
そそくさと店を出ます。
そしてボクは思いました。
あ~ぁ、バーナー買えなかったぞぅ。