162日目 しみこむ


だいたいね、
冬っていうのはイヤです。
なぜなら寒いからです。
寒いのはナメクジもおんなじです。
なかなか見つからないのです。
寒いとナメクジは冬眠するのです。
ボクは、ネチャネチャした葉っぱとかを素手でめくります。
奇妙な粘液が指先に付着するのです。
これが素手の恐ろしさです。
「手袋しろよ」
とか思うよね。
そう、その通りよ。
でもね、ボクは素手にこだわるのです。
なぜなら、
そうしなけらばならない気がして仕方がないからです。
だからボクは、
「イカす君」
とか描いてある駄菓子のビニール袋を持ち上げます。
素手で。
ビよ~ん。
と黒い汁が鼻水状に伸びます。
コーラを2ヶ月ほったらかして、
蒸発して糖分が残ったみたいな感じの、
鼻水状の黒い汁です。
ひゅ~
と風が吹くと、
鼻水状の黒い汁は、ボクのズボンに付きます。
もちろん右手には、
「イカす君」
とか描いてある駄菓子のビニール袋を持っております。
ボクは黒い汁がズボンに付いたので、
もうイヤになりました。
なんの為に、 「イカす君」
とか描いてある駄菓子のビニール袋を
持ち上げなければならなかったのでしょう。
ボクは思い通りにならない現実を思い知らされたわけです。
ズボンにくっついた鼻水状の黒い汁は、
静かに染み込んでゆきます。
ボクの心にも、
静かに沁み込んでゆきます。