174日目 アタッシュ


ヘルメットが、いなくなったので、
ボクは探しに出かけます。
車で出かけます。
なんで?
とか思いますよね。
そう、この時期は、いないんですね。
暑いと出てこないんですよ、
なめくじってのはね。
だからボクは、山に向かうのです。

ブベベ、ブベッ

煙幕です。
前方を走る軽自動車が、
ブベベ、ブベッ
とかいいながら、白い煙幕を出して、
必死に走行しております。

何なんだよ。

とか思いながらボクは、煙幕をすり抜け、
軽自動車を追い越します。

そしてコンビニ到着ね。

「早く山いけよ」
とか言いなさんな。
ガムとジュースを買うのよ。
ボクはね。

ブベベ、ブベッ

来た。
さっきの軽自動車です。
ボクの車のとなりに、
ブベ、ガガゴ。
とかいって、止まります。
ボロボロです。

よく、こんなの走るよな。

とか思って見ると、
おっさんが、アタッシュケースを
パチパチ
と開けます。

そしたら、お札があります。
きれいに並んどるんです。
お札が。
まるで、あんた、身代金よ。

ボクはもう、おっさんと現金をジロジロ見ますよ。
交互に、
ジロジロ見ますよ。

なんすか、
アタッシュケースとかいう奴は、
お札の大きさに合わせて作ってるんですか?
ほんと、きれいに並んどるんですよ。
お札が。

そして、おっさんは、
札束を一個とって、
ぐにょ、って、ひん曲げます。
コンニャクを曲げるみたいに、
ぐにょ、って、ひん曲げます。
おっさんは、ダンゴ虫が丸まったみたいになったお札を、
(ここがポイントね)
あらかじめ手首にはめてあった輪ゴムで、
ピチパチ、プチ。
とかやって十字に縛り上げます。
おっさんは、それをズボンの前ポケットに、
無理矢理に押し込んで、
さっそうと軽自動車から降ります。
あきらかに、サイズが大きいズボンの尻を、
ダボダボさせながら。

で、おっさんは、コンビニに突入。

ボクは、窓を開け放って、
鍵すらしてない軽自動車のアタッシュを見ながら、 思いました。

もうなんか、なめくじとか、どうでもいいよね。