191日目 スネークマン
今日はヘルメットにニンジンを与えてあげます。
いっぱい食べて赤いウンコをまきちらすのです。
「へ?お前、ナメクジおるやん」
とか思うでしょ?
そう、あれは今から数時間まえです。
ボクは、さわやかな風をうけて、
さわやかに歩いておりました。
そしたら道路の溝にヘビ人間がいました。
ヘビ人間というのは、
せまい溝にはまってモゾモゾしているオッサンのことです。
うつぶせで左手を上げております。
手旗ゲームの、
「白あげて、赤あげない」
というような状態で、溝にはまっております。
これはヨッパライではありません。
ヘビ人間です。
なぜなら、ゆっくりと尻を動かして前に進もうとしているからです。
ボクは、何もかもが値上がりする後ろ向きなこの時代に、
少しずつだけど、しっかりと前に進むヘビ人間を見て、
「これなら後ろ向きでもいいや」
と思おうとした瞬間に、ヘビ人間の靴にクギ付けになりました。
靴のカカトにナメクジを発見。
ボクは、少しずつだけど、
しっかりと前に進むヘビ人間の靴をぬがせます。
そして靴に付いたナメクジを指先に移動させます。
ボクは、ぬがせた靴を少しずつだけど、
しっかりと前に進むヘビ人間の尻にやさしく乗せます。
ボクは、ヘビ人間の尻に乗った靴を見て思いました。
親子みたいやね。
そしてボクは、より、さわやかな風をうけて、
さわやかに歩き出します。
「うおー!おっさんがおるー!」
自転車に乗った子供たちがヘビ人間を見つけて、
ワクワク楽しそうな奇声を上げます。
通りかかった車の青年も気付いて窓から顔を出しています。
「ほっとけ、お前ら」
とか子供たちに言っています。
ボクは、さわやかに歩くスピードを少しアップさせます。
なぜなら、早く帰って手を洗わなくてはいけないからです。
だってナメクジは毒やからね。