192日目 装着の美学


今日はヘルメットの寝床を新しくします。
ヘルメットの寝床というのは、土とか葉っぱのことです。
「知っとるわい」
とか言いなさんな。
なぜなら今ボクは耐久ゴム手袋を探すのに必死だからです。
探すのに一生懸命なので周りのことなど、そっちのけなのです。
ダンボールに埋もれたバケツの中に耐久ゴム手袋を見つけたボクは、
無表情で小さく一度だけうなずきます。
なぜならそれがハードボイルドの基本だからです。
小さく一度。
これが男の美学なのです。
大きく二度だと、いかにも話を聞いているふりをしている司会者になります。
ボクは司会者じゃないので、さっそく耐久ゴム手袋を右手にはめます。
耐久ゴム手袋をしないと汚い土とかを触るので、危険です。
犬がウンコとかしている土を素手で触るのは、危険なチャレンジです。
だからボクは水をまったく通さない頑丈な手袋をはめるのです。
中に何も入っていないのに手の形にふくらんでいるほどに頑丈なヤツです。
ボクは左手にも耐久ゴム手袋をはめます。
そしてボクは、無表情で小さく一度だけうなず、
と、いうところで左手中指にわずかな違和感を感じました。
ズボッ!
という勢いで左手の耐久ゴム手袋を脱ぎ捨てます。
ボクの左手中指にぐるりとムカデが巻きついています。
そんなに大きくはないのですが、
ボクの左手中指にぐるりとムカデが巻きついています。
もうね、
パニックよ。
だいたい、この手袋が、
「耐久ゴム手袋」という名前なのかはこの際どうでもよいです。
チクッときたね。
左手中指の先端を刺しやがったわけよ、
ムカデが。
もう土とか葉っぱとか、知ったこっちゃないね。